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──今年も量だけは多かった"マンガ原作映画"から、映画評論家、マンガ研究家のみなさんに、「これは特にヒドかった!」というワーストランキングをつけていただいた。

選者

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[映画評論家]
■前田有一
1972年、東京都生まれ。映画評論家、「日刊ゲンダイ」(日刊現代)「週刊現代」(講談社)「男の隠れ家」(グローバルプラネット)「週刊アスキー」(アスキー・メディアワークス)「ケトル」(太田出版)などの媒体にも連載中。日本文化チャンネル桜「超映画批評」にも出演。

【前田的タブー破りマンガ】
『東京大学物語』(江川達也/小学館)。9年間も連載を読んできた読者に対し、いくらなんでもあの最終回はひどすぎる(褒めている)。ちなみに江川達也本人による実写映画版のタブー破りも凄まじい。ぜひ見るべし。

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[少女マンガ研究家]
■和久井香菜子
ライター兼少女マンガ研究家。愛するもののことはついつい斜め目線でぶった斬ってしまうあまのじゃく。サイゾーウーマンにて『そうだ、ソルティー京都、行こう』『マンガ・日本メイ作劇場』など連載中。著書に『少女マンガで読み解く乙女心のツボ』(カンゼン)がある。

【和久井的タブー破りマンガ】
『神様に見捨てられた20日間 監禁事件の行方』(ももち麗子/講談社)。萌えもなければ学びもない、ただひたすら主人公が困難に巻き込まれ、ラストはよくわからないハッピーエンドという、ひたすら謎な物語でした。

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[フリーライター]
■多根清史
1967年生まれ。「オトナアニメ」(洋泉社)のスーパーバイザー兼オタク文化に精通するフリーライター。10年11月には『ガンダムと日本人』(文春新書)を上梓。近著に『ものすごい言葉 次のリーダーのために』(ソフトバンク新書)『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)。

【多根的タブー破りマンガ】
『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博/集英社)。最強の敵・メルエムを科学兵器で倒した上に、「掟破りが当たり前」の富樫作品としては異例の感動的なラスト! 人類の底知れぬ悪意に対する皮肉も利いたどんでん返しでした。

ワースト1位

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【前田選出】
■やっつけ脚本で無駄な3D
『映画 怪物くん』
原作:藤子不二雄(A)
小学館(65~82年)/830円(新編集版全21巻)
映画監督:中村義洋/11月26日公開
出演:大野 智、松岡昌宏、八嶋智人ほか

藤子不二雄によるギャグマンガの映画版。誰が聞いても悪い冗談としか思えぬ企画でも邦画界では通ると証明した記念碑的作品。伝説のカレーを食べたいがため嫌々ながらも王女を救いに行くという、やっつけにもほどがある脚本。伸びる手足や飛行シーンなど多用されまくるCGの、しかしチープ感を強調する効果しかない3D上映。さらには16世紀から残る貴重なインド寺院でロケをするなど、最新技術と莫大な予算を惜しげなく無駄遣い。比類なきバカ映画として、末長く日本映画史に君臨することは間違いない。

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