──日本で独自に進化を遂げたビジュアル系。その黄金期は90年代だといわれるが、ゴールデンボンバーやシドなど、独自の音楽性を確立して活躍中のバンドも多い。門外漢からは軽視されがちな「ビジュアル系のサウンド」をマジメに分析する!!
市川哲史氏の著書『さよなら「ヴィジュアル系」』(竹書房文庫)。
ビジュアル系(以下、V系)と呼ばれる音楽シーンが生まれたのは、90年代初頭。XやLUNA SEAといった黎明期のバンドは、海外のパンクやニューウェイブ、メタルなどから影響を受けながら音楽スタイルを確立し、まだまだ洋楽信仰の強かったこの時期に、洋楽リスナーをも「カッコイイ」と唸らせる、数多くの名盤を生んだ。
しかし2000年代に入ると、V系は日本独自の「カッコよさ」を希求し始め、ガラパゴス的な進化を遂げていく。ここ10年間にデビューしたバンドの多くは"90年代V系"をお手本にしており、そこには洋楽からの直接的な影響はほとんど見られない。サウンド、歌詞共に90年代を強く彷彿とさせるナイトメアなどは、そんなバンドの代表であろう。