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―当特集【1】 【2】までは軍事とITの密接な関係を見てきたが、軍事機関において情報を扱ってきた諜報部門は、どのように変わったのだろうか? IT社会における諜報機関やサイバー戦争の現状を、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏に聞いた。

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黒井文太郎氏の著書『日本の情報機関』(講談社)。

 ITの進化は、当然軍事活動における諜報分野にも大きな影響を与えました。諜報活動というと映画に出てくるスパイのようなイメージが強いですが、冷戦後の1990年代半ば頃からはOSINT(Open Source Intelligence)と呼ばれる"公開情報をいかに収集、分析するか"に重点が移っています。今では、各国の諜報機関が必要とする情報は、機密情報を含めて95%がネット上にあるといわれており、10年にはイスラエル兵のフェイスブックからゲリラ掃討作戦の情報が漏洩したなんて話もありました。もちろん諜報機関はそこまで直接的な情報に限らず、軍事や経済などに関する現地のシンクタンクの発表データなどを収集、分析し、他国の動きを推察しています。加えて、各国政府などのネットワークに侵入できれば、今までスパイが苦労して要人たちから引き出していた何倍もの量の機密情報が一気に手に入るわけです。

 盗聴などの従来の手口も盛んに行われていて、アメリカやイギリスが開発した盗聴システム「エシュロン」は有名ですね。こうしたデータ収集分野は、アメリカが各国の10年先を行っていて、予算的にも日本の国防費全体に匹敵する約5兆円を情報分野に回しています。それでも集めたデータが多すぎて分析が追いつかないのが現状です。

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