――震災後、立ち入り禁止区域となった「福島原発20キロ圏内」。そこに今なお残されたペットたちを救出すべく立ち上がったのが、本誌ではおなじみのジャーナリスト・山路徹氏(APF通信社代表)が発足した「福島原発20キロ圏内 犬・猫救出プロジェクト」だ。同プロジェクトリーダー・大網直子氏と共に、福島の惨状を通して感じたペットビズの闇について、静かな怒りをぶつけてくれた。
──「福島原発20キロ圏内 犬・猫救出プロジェクト」で被災地に入り、感じたことを教えてください。
「福島原発20キロ圏内 犬・猫救出プロジェクト」の活動の様子。被災地に残された動物たちを抱きしめる大網さん。(写真/APF通信社)
大網直子(以下、大) もともと、福島の飼い主さんの多くは、ペットを家族同然にかわいがっていたと思います。ただ一部、飼い主さんによっては避妊や去勢をしない方もいるので、数がどんどん増えてしまっていた。どこかにもらってもらえればいんですが、もらってもらえない子は保健所に持って行ったり、特異な例では、生きたまま埋めちゃったりする場合もあるそうです。地域によってそういうこともあるんだなと。
山路徹(以下、山) 予防注射をしてなかったり、フィラリア予防薬を与えてなかったり、保健所に登録している犬も、実数の数分の1というレベル。ただこれは良い悪いの話ではなく、ペットに対する愛し方の質が違うだけ。我々都会の人間に比べると、田舎では、もっともっと家畜的な要素が強い。牛を守るのが犬で、穀物を守るのが猫。それはひとつの文化なので、一概に責められない。