──大人も楽しめる日本のハイクオリティ・サブカルチャーのひとつ、アニメーション。日々進化し続ける技術と想像力に、どうついていったらいいのだろうか……。アニメの真の魅力を浮き彫りにする新批評。
2011年9月号 ANIMATIONクロスレビュー
■聖地・秩父の巡礼も大盛況だった青春アニメ
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』
監督/長井龍雪
脚本/岡田麿里
制作/A-1ピクチャーズ
放映/フジテレビ系にて、毎週木曜25:15~25:45(ノイタミナ枠、6月23日終了)
幼い頃いつも一緒だった「じんたん(仁太)」「めんま」「あなる」「ゆきあつ」「つるこ」「ぽっぽ」。めんまの死をきっかけに距離ができ、高校進学時には疎遠になっていたが、ひきこもりの仁太の前にめんまが現れる。長井&岡田の『とらドラ!』コンビのオリジナル企画。
【アート講師・石岡評】
★★★★★★★☆☆☆
もっと野心的に作っても良かったのに
実写向きの題材とみられつつも、「ゆきあつ」や「あなる」に特に顕著な、アニメ的なキャラ属性を過剰に積み重ねるギミックは興味深い。OPやEDに定評のある長井監督らしいソツのない演出もあって、第一話の出来はほぼ完璧といって良い。だがその印象を超えきれていない点が惜しまれる。花火場面をクライマックスにせず、最終話のいびつさを際立たせるなどの野心的な構成を生かすことよりも、破綻せずまとめることが優先されたためか。