──震災義援金の窓口として、身近な存在となった日本赤十字社。しかし、莫大な義援金を円滑に処理できずに批判を受けている。さらに、高尚な理念を掲げる組織なだけに、何かと風当たりは強いようだが……そんな日赤自身に、これまでに巻き起こったさまざまな批判や疑問をぶつけてみた。
『日本赤十字の素顔』。
「もう、いわれのない誹謗中傷のせいで、本当に参っているんですよ~。ウチの職員なんてみんな身の危険を顧みずに、われ先に『私が被災地に行きます!』って言い合って、頑張っているんですから」
日本赤十字社(以下、日赤)の企画広報室(以下、広報室)に電話をすると、担当者はだんだん愚痴をこぼし始めた。「週刊新潮」(新潮社/6月16日号)をはじめ、ネット上で日赤の義援金配分遅延が明るみに出るにつれ、同社にはメディアや一般の人々から問い合わせや抗議の電話が殺到しているという。
今回の震災で、日赤はいち早く被災地での大規模な医療救護や救援物資支援などを展開する一方、このような義援金問題などで批判を受けている。
そもそも、そんな日赤の実態について、一般にはあまり知られていないのではないか? ここでは、昨今世間から上がっている日赤への批判、疑問の声を通じて、謎多き巨大組織に迫りたい[日赤という組織に関する基本情報は、当特集【2】参照]。