大阪地検特捜部の「押収フロッピー改ざん事件」で、致命的なダメージを受けた検察。その立て直しを託された笠間治雄検事総長が、いよいよ本格的な改革に乗り出した。
笠間治雄検事総長のインタビューが掲載されている『文藝春秋』8月号。
「この7月、『取り調べの全面可視化』や『特捜部の独自捜査体制の縮小』といった思い切った取り組みを発表しました。その際、笠間さん本人が記者会見を開いています。総長自ら国民に向かってメッセージを送らないと、もはや立て直しが利かないというくらい、検察当局は危機感に駆られているからです」(大手紙司法デスク)
それもそうだろう。与党・民主党の肝いりで設置した法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」は、これまで手厳しい検察批判を繰り返してきた。中でも、会議のメンバーであるジャーナリストで作家の江川紹子氏は「特捜部解体論」を主張して譲ろうとしなかった。
「この諮問機関の存在に、検察当局はずっと頭を抱えていましたね。その象徴が、前任の大林宏総長。改革案をまとめる前に、着任半年にして辞職しています。諮問機関の重圧に耐えきれず、しかも検察改革に反発する一線の検事たちの首に鈴を付けられなくて、半ばやけ気味に自爆テロをしたとまでいわれました」(同)
それゆえに、昨年12月に着任した笠間総長には、外部の改革圧力と内部の抵抗勢力を納得させる両面工作が求められていた。改革案を見てみると、その腐心の跡が見て取れる。