サイゾーpremium  > 特集2  > ガンダムの生みの親・富野由悠季が語る「モ...

『機動戦士ガンダム』から、新著『「ガンダム」の家族論』まで、多くの場面で原子力の運用について慎重に言及してきた富野由悠季監督。希代のアニメ作家に、昨今の反原発表現について聞くと、「脆弱」と一蹴されてしまった。その後、原発に対するレポートは続き......。

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富野由悠季監督。(写真/若原瑞昌)

──今日はガンダムの動力源に核反応炉を用い、またその一方で劇中、核兵器の使用を禁ずる南極条約を締結させるという設定を作った監督に「原子力と表現」について伺いたいのですが......。

富野由悠季(以下、富野) 創作の際、原子力の問題を考えたことはありません。当然、ガンダムの動力についてはアニメというファンタジーを成立させるためにあり得ない核反応炉を使っただけです。

──何も考えていなかったんですか!?

富野 考えない理由はあります。ガンダムのような人型の巨大兵器を駆動させる動力源なんて核くらいしか思いつかなかったし、現実の世界であんな巨大なエネルギーを生み出す核反応炉なんて、未来永劫、作れるわけがない。ビームライフルも同じで、スーパーカミオカンデの研究をしている物理学者の中にはガンダム世代もいるんだけど、その人たちに聞くと、ガンダムが装備していたビームライフル級の破壊力で粒子や陽子を撃ち出すには、東海村にある大型加速器施設の3~4倍のものが必要だっていうんだよね。

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