──メジャー文学賞にまつわる話として、選考委員の作家へのギャラの高額さは有名だ。地方文学賞ではそうした"必要経費"をめぐる事情はどうなっているのだろうか?
夏目先生、坊っちゃん文学賞の運営費はいかほどですか?
当特集【1】で触れたように、文学賞は、お手軽に始められて後腐れなくやめられるとはいえ、主催するにはそれなりのお金がかかる。賞金だけでなく、著名な作家を選考委員に据えるのであればギャランティを、そして選考委員の手に渡る前に、作品数を絞り込む"下読み"要員にも報酬を支払わねばならない。大手出版社主催の文学賞の場合、選考委員を務める作家へのギャラは1回につき100万円以上などと噂されているが、地方文学賞の場合は、どれぐらい支払っているものなのか?
「各自治体で異なるでしょうが、そんなに高額だという噂は聞きませんね。文学賞選考委員のギャラは副賞と同額程度という話もあるけど、作家も地方自治体にお金がないことはわかっているはず。選考委員は地域にゆかりのある人にお願いすることが多いですから、頼まれた側もお金のためより、地元の活性化に貢献したいというような思いで受けるんじゃないだろうか。ただ、作家は都心などに住んでいることが多いので、交通費や宿泊代、接待費はかかるでしょうね。まさかビジネスホテルに泊まらせるわけにいきませんから(笑)」(フリーライター・永江朗氏)