──これまで見てきたように、今後大手SNSを脅かしかねないほどの可能性を秘めているニッチSNSだが、意外なことに、ニッチSNSは社会的にも重要な役割を担うかもしれないという。情報環境研究者の濱野智史氏に話を聞いた──。
濱野氏も参加している「ユリイカ」の『ソーシャルネットワークの現在』特集号。
私は2006年頃、GLOCOM(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)在籍当時に、ニッチSNSの一種である、小さなSNSをテーマに研究したことがあるんです。中でも興味深い事例が、後に08年の日経地域情報化大賞を受賞した、千葉県の西千葉地域限定SNS「あみっぴぃ」でした。
当初は地元のシニア向けにパソコン教室として、Officeソフトの使い方やブラウザの操作方法を千葉大学の学生がボランティアで教えていたそうなんです。しかし、いったん習得したはずの操作方法も、シニアの場合、継続してパソコンを扱う必要がないので、どうしても操作方法を忘れてしまう。ならば電話やメールみたいにコミュニケーションツールとして日常的にパソコンを使えばどうか、ということで受講者全員に強制的にアカウントを取得させ、千葉大学の学生が始めたNPOが運営する「あみっぴぃ」に参加させてみました。