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荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 第12回

福祉から無視され続ける社会的弱者としての売春少女たち【後編】

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【前編はこちら】

現代の「路上障害者」の問題と、どう向き合うか

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『出会い系のシングルマザーたち』

荻上 路上生活者の中には、「路上障害者」とも呼ぶべき人が一定数含まれていますね。かつてであれば、傷痍軍人など身体障害者の方が路上でお金を求める、という風景がありました。一方で最近では、より外からは見えにくい障害を抱えている方が放置されているようにも思えます。かつての「戦争」という共通原因によって大量に生まれてきた路上生活者の場合、そうした人々をどう救うかというのが政治的なテーマになり得たけれど、それ以降ホームレスが数値的に減少しているといっても、事態が改善されているとも言い難い。

 女性の場合は特に、「路上」に身を置くのが、より困難でもある。だからこそ、可視化されにくい問題群を抱えた女性が、より可視化されにくい「出会い系売春」へと流れて、「自己責任」と位置付けられて放置されるという状況があるわけです。

鈴木 そうですね。ただ、彼女たちが福祉と全く接点がなかったかというと、一度は必ずあったはずだと思うんですよ。婦人保護施設の職員さんなどの話を聞いてみたところ、多くの場合"点"では接触しているんですよね。ただ、体を売ればお金になることを知ってしまうと、どうしても路上から抜け出せなくなる。本当にどうしようもなくなって婦人保護施設に来たり、そこを利用して子どもを産んだりするけれど、すぐに子どもを捨ててまた路上に戻っていく。あるときは加害者、あるときは被害者にもなる、本当に理解し難い障害者だということなんですね。

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