──マンガが実際に回収された場合、マンガや編集者どうなるのだろうか? マンガ規制に詳しいマンガ評論家の永山薫氏と、都の成年コミック規制に関し、東京都副知事の猪瀬直樹にインタビューするべく、夕張市で雪かきを行ったマンガ家の浦嶋嶺至氏に、自主規制の動きやマンガ家たちの実情について語ってもらった。
マンガ評論家の永山薫氏。
永山(以下、永) まず、マンガにおける発売禁止というのは、裁判で刑法175条の「わいせつ物頒布等の罪」に当たるという判決を受けた作品。これに該当するマンガは、そう多くはないんだよね。
浦嶋(以下、浦) 僕が思いつくのは「松文館裁判」の争点となったビューティー・ヘア先生の『蜜室』【1】くらいですね。東京都の青少年・治安対策本部から「不健全図書類」に指定されたマンガはたくさんありますが、発売できないわけじゃありません。
永 今年2月15日にも、同本部が発表した「第609回東京都青少年健全育成審議会の答申について」で、『愛恋千鳥』【14】や『いんデレお姉さん』【15】など、4冊のマンガが不健全な図書類に指定されました。これらは「指定図書」(当特集【1】参照)と呼ばれ、書店でも18禁コーナーに置く、ビニールなどで包装して18歳未満の青少年が購入できないようにしなければならないという、販売規制を受けることになる。これは出版倫理協議会による内規で、いわゆる自主規制と呼ばれる対応。また、東京都以外でも各自治体の青少年保護育成条例によって指定を受けて「指定図書」となったりする。雑誌なんかだと、「不健全」の指定を3回食らってしまうと取次が扱ってくれなくなるので、休刊や廃刊せざるを得なくなってしまうから、ある意味「封印作品」ってことですよね。