本特集をこれまでをご覧になって、ペットフード、ペット用品、生体、サービス業、医療分野と、いかにペットビジネスが盛り上がっているかを理解していただけただろう。実際、現在のペットビジネスの市場規模は、1兆円とも、1.5兆円を超えるともいわれ、2010年までには2兆円にまで膨れ上がることが予想されている。この大フィーバーぶりについて、『ペットビジネスから犬や猫を守る』(しののめ出版)の著者であり、特定非営利活動団体日本ヒューマン&ペット協会会長の作左部和雄氏はこう話す。
「全国の犬猫の飼育頭数は、2516万5000頭(05年/ペットフード工業会調べ)と増加傾向にある一方、15歳以下の人間の子どもの数は1765万人(05年/総務省調べ)と減少傾向にあります。つまり、少子高齢化の進む日本では、いまや子どもよりも犬猫のほうが多い時代といえます。ペットが家族の一員となったいま、犬の場合、グッズをはじめトリミングやペットホテル、しつけ教室、葬儀ビジネスといった"サービス業"を主体に、その市場は、ここ5年で急成長を遂げています。特に最近はペットの平均寿命が延び、急速な高齢化が話題になっていますので、介護分野に注目が集まっていますね」
しかしその一方で、本特集内でさんざん口を酸っぱくして指摘しているように、全国の保健所に収容される犬猫の個体数は、37万4160頭(06年)にも及び、そのうち34万頭以上が殺処分されている。イギリスやドイツなど、ペット先進国に比べると収容個体率が高いのだ。ペットに愛情と金を惜しみなく注ぐ飼い主が増えているはずなのに、なぜこのような不幸な犬猫が後を絶たないのだろうか? これには、日本人のミーハー根性が深く関係しているという。