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第2特集
老舗文学賞の失墜と本屋大賞の功罪【5】

辛口書評家・豊﨑由美が語る「文学賞は、バカを書店に連れてくるためにある!」

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豊﨑由美氏と大森望氏の共著『文学賞メッタ斬り!〈2008年版〉たいへんよくできました編』

──これまで文学作品や小説家に辛口の苦言を呈し、『文学賞メッタ斬り!』(大森望と共著/新潮文庫)では、文学賞の意義について問うてきた文芸書評家の豊﨑由美氏。そんな豊﨑氏は、本屋が選ぶ文学賞、「本屋大賞」をどう見てるのか?

 本屋大賞の受賞作がなぜ売れるのか? その答えは割と簡単です。まずひとつは、本を売る現場の人たちの賞だからということ。売り方に熱が入って当然でしょ。もうひとつは、消費者の書店員への信頼感。一般の人って「書店員は、たくさん本を読んでいるはず」という思い込みがあるんですよ。ここ10年くらいの流行として、書店員の推薦文が帯に使われるケースが増えていますよね? これは、名前も知らない書評家より、身近な書店員の言葉のほうが信頼できるという、いわばクチコミ効果の延長線上のようなもの。本屋大賞はそれが一番機能している賞ともいえます。

 そしてもうひとつ、まったく売れそうにない本は受賞しない、というのは大きい。意地悪な人は「最初から売れていた本を、さらに売ってどうするの?」なんて言いますけど、そんな批判は的外れ。だって5万部の本を10万部にするってすごく大変なことなんですから。でも本屋大賞を獲れば、そういう桁の違う売れ方が可能になる。当たり前のことですけど、書店も商売なわけですよ。初版3000部の純文学が本屋大賞を獲って3万部になったくらいじゃ、書店は潤いませんからね。

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