──ついに"ドラマの帝王"木村拓哉ですら視聴率の取れなくなったドラマ大恐慌時代。そんなテレビ離れ世代にこそ見て欲しい、テレビマンたちの力とは? ドラマの見方が変わる新目線批評。
2011年2月号 DRAMAクロスレビュー
■嵐・二宮、"自分探し草食男子"に
『フリーター、家を買う』
脚本/橋部敦子 演出/河野圭太、城宝秀則
原作/有川浩
出演/二宮和也、浅野温子、香里奈ほか
フジテレビにて10月より毎週火曜21:00~(12月21日終了)
三流大を出て就職するも3カ月で退社し、バイトも続かずにいた誠治(二宮和也)は、母・寿美子(浅野温子)の鬱病をきっかけに、土木系企業でアルバイトをはじめる。そこでさまざまな人と出会い、やりがいを見つけていく姿を描く。
【批評家・宇野評】
★★★★★★★☆☆☆
「再保守化する日本」の横顔
原作は現代的な自分探し「フリーター」が、「道路」をつくる「会社」に入り「家」を守る肉食系に脱皮する過程を、巧みにその保守イデオロギーを隠蔽しつつ展開した秀作だ。こう考えると草食系の象徴である「嵐」二宮を主役のフリーター青年に、彼が救うべきその母(専業主婦)にトレンディドラマの象徴・浅野温子というキャスティングは極めて批評的。演出は手堅く、配役で戦う。ドラマならではの手法としては王道だが、いい加減凡庸でもある。