──今回の特集の予備知識として、まずは日本経済の概況を頭に入れておきたいところ。ウィルコム、武富士、JALなどの大型倒産が相次ぐ一方で、倒産件数の鈍化など、復調の兆しが見えないでもない。さて、ニッポン経済、そしてニッポン企業の行く末は?
この人たちも教えてくれません!
日本経済新聞社が昨年12月、上場企業および有力な非上場企業計3908社を対象に実施した調査によると、集計可能だった計625社の2010年冬のボーナスの平均支給額は71万8986円(前年比2・35%増)。冬のボーナスの増加は実に3年ぶりだが、支給額自体は、依然、20年前と同水準の低さだという。
とはいえ、昨今の世界の経済情勢を鑑みれば、出ただけマシ、と思えてくるかもしれない。中国やインドなど、急成長を遂げるごく一部の新興国はともかく、アメリカをはじめとする先進諸国のほとんどは、「100年に一度」といわれる危機的状況からはようやく脱却しつつあるものの、いまだ低迷と混乱のただ中にあるからだ。
残念ながら、わが国も長らくそうした「低迷組」の一員の地位に甘んじている。前述の金融危機以降、国内景気は緩やかな回復傾向にあるが、その復調ペースは昨年後半に減速し、また、依然としてデフレや円高、株価低迷といった不安材料も山積している。特に深刻なのは雇用情勢で、今年3月卒業予定の大学生の就職内定率が過去最低の57・6%(10年10月1日時点、前年同期比4・9%減)にとどまったほか、完全失業率も09年3月以降、常時5%前後という高水準で推移しており、改善の兆しすら見られない。景気についての政府の公式見解である月例経済報告でも、昨年10〜12月は3カ月連続で「景気は、このところ足踏み状態となっている。また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある」と発表されており、明るい見通しを立てづらい状況が続いている。