「ゼネコン業界で資金ショートの噂が出ている」「政府もお手上げらしいぞ」
言っている間に大変なことに……。
昨年末、新聞各社の経済記者の間でこんな情報が飛び交い、大みそかまで確認に追われたというから穏やかではない。末期的症状の菅直人政権に愛想を尽かした経済界が、先行き不安を募らせたせいなのだろう。年末恒例になっていた「ゼネコン破たん騒ぎ」にさらに火がつき、真実味を帯びてきた。
ことの発端は、遠くアフリカのアルジェリアで進んでいる巨大な高速道路事業をめぐるトラブルだ。鹿島建設をはじめ大成建設、ハザマ、西松建設の4社による共同企業体(JV)が受注したこの工事は、5400億円に上る「過去最高額の海外事業」と鳴り物入りでスタートしたビッグプロジェクトだが、今やゼネコン界の将来を揺さぶる致命傷と成り果てている。
「完成予定の2010年1月を丸1年過ぎた現在も、6割ほどしかできていません。アフリカの砂漠地帯特有の難工事に見舞われた上、発破作業で作業員が死亡した事故をきっかけに暴動が発生し、重機が放火されたりストライキに発展するなどトラブル続き。その結果、アルジェリアからの支払いも滞り、未払い金はなんと1000億円。4社の経営を圧迫し、スーパーゼネコン初の企業合併すら取り沙汰されているんです」(経済部記者)