昨年、この国を揺るがせた重大スキャンダルといえば、厚生労働省元局長の村木厚子さんをえん罪に陥れた大阪地検特捜部による証拠改ざん・隠ぺい事件にほかならないだろう。
ドタバタ『検事総長』就任劇の裏には……。
世論の猛烈な非難を浴びた検察当局では最高検察庁が自ら乗り出し、主任検事から特捜部長まで計3人を逮捕。その上司だった新旧の大阪地検検事正らを一斉辞職させたのは周知の通りで、昨年末、検察トップの大林宏検事総長が引責辞任したのは遅きに失した感すらあった。
「ところが検察内部では、総長辞任を驚きを持って受け止めています。だって、後任の笠間さんはすでに引退するつもりでいたんですから」(司法クラブ記者)
この記者によると、新総長になった東京高検の笠間治雄検事長は今月初旬に定年を迎える予定だったため、昨年12月初めには退官記念パーティを済ませていたが、総長になったことで定年が2年伸びたのだ。
「大林さんは不祥事の検証報告を年内にまとめた後も、自らの手で組織改革を続けるつもりでしたからね。不祥事を理由に任期半ばで辞めた検事総長は検察史上でも皆無。そもそも昨年6月に就任したばかりですから、おいそれとは辞められないと腹を決めていたようです」(同)