(写真/早船ケン)
──CDがちっとも売れなくなり、音楽業界が凋落したとはよく耳にする。あるいは、MP3の浸透により、音源が限りなくタダに近づいたとも聞く。現在のそうした悩ましき状況は、「じゃあ、どうやって食っていくのか?」という素朴な問題をミュージシャンたちに厳しく突きつける。だが、悲観することはない。メジャー・デビューすれば""アガリ"なんてもはや幻想なのだから、レコード会社とか音楽メディアとか評論家の論理なんて無視して、「音楽で食う方法」そのものを勝手に再定義すればいいのだ。そんな時代のミュージシャンがサヴァイヴするすべを、ユニークな6名の音楽家の言葉に耳を傾けて模索したい!
90年代末をピークとして、現在に至るまで絵に描いたように下降線をたどった音楽産業。しかし、なぜこうした事態に陥ってしまったのだろうか──音楽ライターの磯部涼が、CD不況の本質を抉りながら、2010年代の音楽家像を探る!
「音楽は金じゃない」。ひと昔前ならミュージシャンが意識の高さを誇示するために使っていたそんなクリシェが、今やミュージシャン自身を押し潰そうとしている。00年代以降においては、音楽は金じゃない──というか、音楽は金にならないのだ。