吉田茂内閣の「バカヤロー解散」から菅直人内閣の「尖閣問題」まで、56年にわたり政界を見続けてきた政治評論家の三宅久之氏が、『三宅久之の書けなかった特ダネ』 (青春新書インテリジェンス)をこのほど上梓。歴史の闇に埋もれてきた日本の政治史を赤裸々に綴っている。かつて毎日新聞記者として大物代議士たちの懐にもぐり込み、数々の特ダネをスッパ抜いてきた"ご意見番"に、今の政治はどう映るのか? 一部で取りざたされた自身の「官房機密費受領問題」についても正面から聞いてみた。
「今、私が書き残さなければ、永遠に歴史の闇に埋もれてしまう事実がある」。そんな思いで新著『三宅久之の書けなかった特ダネ』を書いたという。知られざる政治の舞台裏が、実名で描かれている。(写真/笹村泰夫)
──かつて政治記者として活躍された三宅さんですが、今の記者をご覧になってお感じになることはありますか?
三宅(以下、三) 私の時代は「夜討ち朝駆け」で政治家の家に上がり込み、懐に入って情報を仕入れるのが普通でしたし、それができない記者は評価されなかった。今の記者はいろいろな部署を広く浅く回るから、専門職にはなりにくい。どうしても、取材が記者クラブ中心になってしまう。そういう意味では、物足りなさはあります。今は政治家も私生活に入られるのを嫌う人が多いですからね。
──一般に「朝日が左」「産経が右」というように、新聞がイデオロギーを前面に打ち出すことの是非については。
三 そもそも新聞が不偏不党なんてことはないと、私は思っていますから。むしろバイアスをかけておいて、公平中立を装うほうが悪質ですよ。アメリカみたいに支持政党を明確にしたほうが読者にとっても親切じゃないですか。
──福田(康夫)政権時代に、親友である渡邉恒雄氏が、自民・民主の大連立を仕掛けました。メディアが政治介入することをどう思いますか?