──ここまではアニソンの歴史とカルチャーの隆盛を見てきた。では、ビジネスの現場は、声優ソングの存在をどのように見ているのだろうか?着うた配信会社、CDレンタル店、音楽レーベルの立場から、現在の声優歌手の隆盛について語ってもらった。
国内最大級の声優アニソンフェス『アニメロサマーライブ』。一面のサイリウムが幻想的ですね~。(C)Animelo Summer Live 2010/AG-ONE 提供:(株)n3o 撮影:毛利智晴
外資系大手レコード販売店HMVの渋谷店が、8月22日に閉店した。かつて「渋谷系」というムーブメントを生み出した同店舗の閉店は、単に大手レコード販売店の規模縮小という面だけではなく、それまで囁かれてきた音楽業界の弱体化が目に見える形で表出したニュースとして、業界内外に大きな衝撃を与えた。
そんな逆風吹き荒れる音楽業界だが、HMVと双璧をなすタワーレコードでは、声優歌手やアニメソングの販売に力を入れ始めている様子だ。
まず同渋谷店では、水樹奈々の新譜発売に合わせ、1階の広いスペースに特設コーナーを設置。そこでは彼女の全アルバムやライブで使用した衣装などがズラリと並んでいた。さらに新宿店では、毎月のように声優歌手のインストアイベントが開催されている。同社広報担当者は「アニメソングや声優ソングだけに、力を入れているわけではない」と答えるが、確実にその比重は増しているように見える。