↑画像をクリックすると拡大します。(写真/有高唯之)
「荻上の作品は癒し系だって言われるのは、なんか違う気がして。どこかで『癒してなるものか』と思っていたところがあるんです。私はただ真剣に生きている人たちを描いているだけで、癒そうと思って作ってはいなかったので」
『かもめ食堂』や『めがね』などでおなじみの荻上直子監督は、自作に対する世間の評価に、そこはかとない違和感を抱いていた。最新作『トイレット』からは、独特のユーモアやリズムはそのままに、これまでの作品とは少々違う印象を受ける。ひとことで言えば、攻めているのだ。撮影はカナダのトロントで行われ、キャストもスタッフもほぼカナダ人。北米で映画を撮ることは、カリフォルニアで映画製作を学んだ監督の夢だった。
「10年たって、今ならできる気がしたんです。外国で母国語ではない言葉で撮っても、今まで築いてきたカラーを一本通せるかどうかが、今回のチャレンジでした」