──6ジャンルに渡ってカルチャー批評を行う本連載だが、唯一取りこぼしているジャンルがある。それは、ゲームだ。おおよそ現代カルチャーに興味があれば無視はできないはずのこの領域は、なぜ"批評不毛地帯"のまま進展してきたのだろうか?
ゲームと現実の相似形を見いだせる『ラブプラス』。その続編『ラブプラス+』もヒットを記録している。
数あるエンターテインメント表現のうちでも最後発のジャンル、コンピュータ・ゲーム。それは、およそ1970年代以降に生まれた世代にとって、マンガやアニメと同等以上に身近で重要な存在である。
特に、『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』をはじめとする物語RPGがシーンを牽引していた90年代中盤くらいから00年代初頭にかけては、ゲームの批評を確立しようという気運が、ユーザーたちの間にはかなり高まっていた。これはちょうど、玩具の延長としてのスーパーファミコンから、音楽CDのような形状のソフト供給を実現したプレイステーションに主流ハードが移行する時期で、ゲームが映画や文学と遜色のない文化コンテンツとして語れるのではないかという素朴な期待がなされたからである。