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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第35回

ベトナムの二の舞か? アフガン戦争の真実

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【今月の映画】

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『RESTREPO』
 アフガニスタンの中でも最悪とされる戦闘に従事した、アメリカ兵たちに密着したドキュメンタリー作品。銃弾が飛び交う中で回されたカメラが映したものは、兵士1人ひとりの真実だけではなく、一般人への被害や治安維持、さらには復興といったアフガン戦争の側面を浮き彫りにしている。2010年、サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門受賞作。

監督/ティム・ヘザーリントン、セバスチャン・ユンガー 日本での公開は未定。


 今年6月、アメリカ軍アフガニスタン方面総司令官のスタンレー・マクリスタル将軍が辞任した。ロック雑誌「ローリングストーン」に彼がバイデン副大統領をはじめオバマ政権の閣僚を批判するインタビューが掲載されたからだ。酒の席での失言だったが、文民統制の原則に反するとされた。マクリスタル将軍はアフガニスタンでCOIN作戦を推進していた。その作戦の実態を描いたドキュメンタリー映画『レストレポ』が皮肉にも将軍辞任と同じ週にアメリカで公開された。
 
『レストレポ』は2007年5月、第173空挺部隊の兵士たちがアフガニスタンに到着するところから始まる。兵士はみんな20歳前後の若者たち。装甲車に乗って険しい山を登っていく途中で爆音と共に画面が白煙に包まれる。路肩爆弾だ。待ち伏せしていたタリバンからの銃撃。反撃する米兵。怒号と銃声。開巻数分で、観客は戦場に引きずり込まれる。

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