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「ジャニタレが出てればOK」を逆手に取る先鋭的ドラマとは?──成馬零一[ドラマ評論家]

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【選者】成馬零一[ドラマ評論家]

 先日、『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社)という新書を出版したのだが、「このタイトルは皮肉ですか?」とよく聞かれる。作品数が多いためか、ジャニーズ事務所のアイドルが出演しているテレビドラマには偏見が強く、ドラマをダメにしている諸悪の根源のように語る人は多い。

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NEWSと関ジャニ∞の掛け持ちで大忙しの錦戸君。今夏は映画『ちょんまげぷりん』で主演を張っている。こちらも要チェック。

 テレビ局がジャニーズアイドルを起用する理由に、女性ファンを視聴者として取り込もうという目論見があるのは間違いないだろう。巨額の制作費がかかるテレビドラマを作るための「保険」のようなものだ。確かに、タレント人気にあやかっただけの無残な作品も少なくない。しかし「保険」を逆手に取り、ジャニーズアイドルが魅力的なら「あとは何をしてもOK」という形で、作り手が強烈な作家性を発揮した先鋭的なドラマも存在する。例えばTOKIOの長瀬智也が主演した『池袋ウエストゲートパーク』【1】。『ケイゾク』の成功により映像作家として高い評価を受けていた堤幸彦の演出は遊び心満載で、初めて連続ドラマを執筆した宮藤官九郎の脚本は、池袋に集う若者の日常を魅力的に描いた。物語は池袋を舞台に主人公のマコト(長瀬智也)が、数々の事件を解決するご当地探偵モノ。ドラッグや性風俗、カラーギャングの抗争といった題材が、堤のドライな映像によって描かれた。性描写や暴力シーンも多く、放送当時は賛否両論で、豊島区役所から局に直接抗議も来たらしい。ドラマ版のマコトには、石田衣良の原作にない素人童貞という設定が追加され、アイドルが演じるにはリスキーな男臭い役柄だったが、長瀬はバカでエネルギッシュなマコトを見事に演じた。この作品がなければ『木更津キャッツアイ』や『タイガー&ドラゴン』といったクドカンドラマも存在しなかっただろう。その意味で、ジャニーズのみならず、ゼロ年代のテレビドラマを代表する作品だ。

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