「政治参加」の動機は、いかにして取り戻し得るか
吉田徹氏の著書『二大政党制批判論』。
荻上 日本の80年代以降に目を向けるならば、経済成長が部分社会への帰属意識を薄めた分、消費社会における政治言説の浮遊状況をもたらした。すなわち、多くの政治的言説が「イデオロギーのモード消費」へと滑り落ちていったわけです。例えば「文化左翼」「保守趣味」と揶揄されるような、「対象なき精緻化」や「リアリズムなき先鋭化」然り。ニューレフトから出発したはずのポストモダン言説も、経済基盤や近代的生活に支えられた環境での「エリート意識の発露」にとどまり、無政治性(デタッチメント)を叫ぶことへの自己弁護と化していった。