■今回の提言
「生活世界を争点に、政治の再活性化を目指すべし」
ゲスト/吉田徹 [政治学者]
──社会の現状を打破すべく、若手論客たちが自身の専門領域から、日本を変える提言をぶっ放す! ということで始まった本連載、今回は政治学者の吉田徹さん。本号発売時にはすでに参院選は終わっていますが、今般の政権交代と今回の選挙を念頭に、いま日本であるべき政党政治の形をあらためて考えてみました。
荻上 7月11日の参院選により、若干は政界地図が変わっていることでしょうが、この対談の収録は6月のため、まだその結果はわかりません。「増税への踏み込み具合」などの政局報道に終始するメディア。極めて部分的なシングル・イシューしか繰り返さない政党。工程表や明細の書かれないままに「白紙手形」を要求されるような、毎度ながらの「与党への採点方式」選挙に、みなさんもさぞゲンナリしていることでしょう。
そこで今回お呼びしたのは、昨年『二大政党制批判論 もうひとつのデモクラシーへ』(光文社新書)を上梓された比較政治学者の吉田徹さん。ここ十数年の日本政治が目指してきた「政権交代可能な二大政党制こそが理想」という通念に反し、実際の二大政党制には、政治工学上の問題点として、政党政治における社会の代表機能を狭めてしまうという問題が含まれていると批判をされています。