──野中広務・元官房長官の告発に端を発し、ジャーナリストの上杉隆氏らが追及を続ける「官房機密費問題」。時の権力から、国民に影響力をもつ評論家やマスコミ人たちに対して、公費が賄賂のごとくバラまかれていたというこの疑惑は、マスコミ最大のタブーといっても過言ではない。同問題を、現場で活動する大手マスコミ記者たちはどう見るのか?大手週刊誌ベテラン記者(A)、全国紙政治部デスク(B)、全国紙社会部デスク(C)に語り合ってもらった。
国会には金が埋まっている !? 評論家はそれを拾いに永田町へ……。
A 政府の「官房機密費」が、あろうことか政治評論家やマスコミ幹部に流れ、世論誘導に使われた疑惑が発覚した。権力の監視役であるメディアの存立そのものが問われかねない大問題だよ。きっかけは、この4月に元官房長官の野中広務さんがTBS『ニュース23X(クロス)』や講演会で暴露して、それを受けて、「週刊ポスト」(小学館)がキャンペーンを張り、受領疑惑のある人物たちに直当たりし、報道した。
C 機密費は主に「外交上の情報収集」を名目に年間約14億円計上されてきたが、会計検査院が監査できない、まさに聖域。検査院に聞いても情報がないから、こちらで受領疑惑のある人物を直当たりしようとしたら、社会部長が「なんで?」とビックリ顔(笑)。東京新聞以外の新聞・テレビがまともに追っかけないのは、自社の上層部のスキャンダルに触れたくないからだと痛感したよ。