──日本の"密航"報道では、"裏社会"の問題として、暗躍するブローカーやその暗躍事情ばかりが、スキャンダラスに取りざたされてきた。しかしなぜそこまでのリスクを犯すのかに言及している記事は少ない。そこで、今急増しているという韓国からの密航とその背景を追った。
平成20年は、全体の摘発数が減ったため減少しているものの、年々増加傾向にある。↑画像をクリックすると拡大します。
昨年2月末、警視庁は、東京で韓国籍の男2人を窃盗容疑で逮捕した。彼らは、過去に武装スリ団のメンバーとして窃盗を繰り返し服役後、国外へ強制退去処分を受けていた。その後、「日本でスリは簡単」と味を占め、再び日本に密入国したのだという。被害は少なくとも38件、約800万円に上る。
こういった外国人の犯罪自体は、誰もが一度は目にしたことがあるだろう。だが、この事件の背景には、「密入国・密航」問題が垣間見られる。
密入国とは、非合法な手段で入国することで、不法入国ともいう。密航は、密入国の手段のひとつで、正式な渡航手続きを経ずに船や飛行機で外国へ航行することだ。また、正規の手続きを経て入国しても在留期間を超過してその国に残っていることを不法残留(オーバーステイ)という。
密入国の方法は、大きく分けて、1.「偽装結婚」による入国 2.「偽造旅券」による入国 3.「改造船舶」による入国の3パターンがある。その具体的な方法については、当特集【2】のコラムを参照してもらうとして、ここではその現状を追いたい。