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ある芸人の赤裸裸笑(小)説「ニューヨーク戦記」第10回

下ネタは身を助く〜拳銃に比べりゃ、どってことないね〜

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〈前回までのあらすじ〉
コメディと英語を学ぶため、単身ニューヨークへ修行に来た芸人・中牟田。相変わらず語学学校に通いながらコメディクラブに出演したり、オーディションを受ける日々が続いていたが、彼目当ての日本人客が多く集まるようになってきたため、いつも出演しているクラブのマネージャーから、中牟田をメインにしたショーの開催を提案される。

 そうして中牟田は、ニューヨークはマンハッタンの老舗コメディクラブで"中牟田ショー"を行うことになったわけだが、クラブマネージャーのバディー・フリップに、彼をトップにショーが行えるとまで思わせたのは、集客力もあるが、パフォーマンスに対する彼の執念・ガッツもあったのだった。ここニューヨークでは、日本の演芸場では想像できない事態が起きることもあって、その状況下でも逃げないでやり切れるかどうかで、コメディアンとしての資質が問われるところがある。なんといっても中牟田には、東南アジア旅行中、拳銃がごろごろ転がる場所で不当拘束された経験があり、少々のことでは心が折れない度胸が身についていた。洗練されて行儀のいい客ばかりのところもあるが、中牟田の出演していたニューヨークコメディクラブは、もっと泥臭い、時にギャングまがいの酔っ払いがほとんどになってしまう場所であった。英語でいうところの"heckle"、つまり野次や、酔った勢いでのコメディアンへの絡みが過剰になり、勝手に客だけでパーティー状態になってしまうのである。

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