求人倍率0・5倍と相変わらず低調が続く雇用問題。年功序列や終身雇用など、従来の雇用体系が変わりつつある昨今、"人事・雇用面から見た良い企業"というのは存在するのだろうか? 『若者はなぜ3年で辞めるのか?』の著者であり人事コンサルタントの城繁幸氏に聞いた──。
──城さんは著書『たった1%の賃下げが99%を幸せにする』(東洋経済新報社)の中で「キャリアパスが複数ある会社が望ましい」と強調されています。日本の現状として、そうした会社は増えてきていますか?
城繁幸(以下、城) ベンチャー企業はともかく、残念ながら、国内大手上場企業ではほとんどありません。あえて例を挙げるなら、ホンダでしょうか。同社は、エンジニアとして給料が上がるようなキャリアパスを用意しています。でも、それはごく一部のエンジニアだけで、文系出身では絶対にあり得ません。キャリアパスは日本ではひとつしかないので、あきらめるべきでしょう。年齢によって給料が上がり、40代で課長になって、普通はそこで終わる。5%の人が部長になれるかどうか、というものです。