そもそも記者クラブ制度とはいかなるもので、何が問題なのか? 記者クラブ問題について本誌でもお馴染みのメディア評論家が、複雑怪奇な問題の本質を一刀両断!!
ジャーナリスト・佐々木俊尚氏
──内外からこれだけ批判を浴びている記者クラブ制度ですが、そもそも、当の記者クラブメディアの記者たちは、その存在に疑問を持ったりはしないものなのでしょうか?
佐々木俊尚(以下、佐) まずしませんね。ぼくが毎日新聞の記者だったときも、むしろ、記者クラブの一員になったことで、ある種の権力のインナーサークルに入ったと受け止めて、その空気に飲み込まれてしまう人が多かったように思います。権力側にとって、メディアとは、うまくつき合ってコントロールすべきものだから、相手が大学出たてで地方に配属された新人記者であろうと、警察署長や有力企業の経営者は、みんなチヤホヤする。それで、記者は完全に勘違いをしてしまう。それに、記者クラブの中にいると、仕事はしやすいし、余計な競争に巻き込まれる心配もなくて、すごく気持ちがいいんですよ(笑)。これでは、記者クラブはいけないものだ、という発想にはとてもならないですよね。