武豊包囲網
昨年、トップの座から下りた天才騎手・武豊。その裏には、一部エージェントの"アンチ武豊"的な動きに加えて、騎乗技術を見限った調教師たちの厳しい判断があった。
急激に強くなりだした逆風に対して、天才ジョッキーは、どう手綱をさばいていくのか?
長年、"日本競馬界のキング"として君臨し続けた武豊が、かつてない窮地に陥っているという。だが、斯界のスターの価値を落とすような報道は、競馬専門メディアやスポーツ紙にとってはタブー。武が現在置かれている実情が、競馬ファンに伝わってくることはない。
08年から、その勢いに陰りが見え始めてきた武。本誌08年6月号でも報告したが、一部エージェント(乗り馬を調教師と調整する役)グループが武包囲網を結成、武以外の騎手が有力馬に騎乗できるように積極的に動いてきたのが不振の一因だった。それでも調教師や馬主に武シンパは多かったが、昨年は、武の騎乗技術自体に疑問を持つ声が大きくなってきたのだ。栗東トレーニングセンター関係者いわく、「ほぼ正確だった体内時計が狂っていて、ペースが読めていない」「08年の大ケガ以来、体のバランスが崩れて上手に乗れていない」。結果、昨年は08年以上の不振ぶり。重賞やG1で人気を裏切り続け、7年連続で死守してきたリーディングジョッキーの座も、内田博幸騎手に奪われてしまったのだ。