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第1特集
「ダメ。ゼッタイ」を問い直す、ドラッグの歴史と現状【1】

批判ばかりの思考停止状態を治癒「ドラッグ語り」のフロンティア本

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──押尾学と酒井法子の事件で最高潮に達した今年の薬物報道。しかし、メディアを通じて一方的にドラッグ批判の言説が覆った世間は、ある種の思考停止状態にあったのではないだろうか。そんな年に発売されたこの8冊を読み解き、ドラッグ問題の真なる論点を探りたい。

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90年代にドラッグの教科書と(一部で)呼ばれた「危ない1号」の創刊号。創刊編集者の青山正明は2001年に自殺。酒鬼薔薇聖斗も読者だった。

 押尾学と酒井法子が連日世間を賑わせたおかげで、女性週刊誌に炙り(ドラッグの摂取方法の一種)の解説まで載った09年は、日本のドラッグ史において一際動きのあった年だったといえるだろう。アメリカのマリファナ雑誌の草分け「ハイ・タイムス」が09年11月号で創刊35周年をむかえた一方で、日本のマリファナ雑誌の革命児「バースト・ハイ」が09年に入って休刊の報が流れたのは象徴的だった。これまで体験談か資料集が中心だった日本に、マリファナのカラー写真をひたすら載せ、ビジュアルで魅せる新しい流れを持ちこんだ、00年代のドラッグ・メディアが「バースト・ハイ」だった。懇切丁寧な栽培ハウツーは人気が高く別冊も出ており、マリファナが「情報」から「体験」へステップアップしていく時代をサポートした。「社会情勢の変化」が休刊理由だそうだが、大学生の相次ぐ大麻取締法違反で風当りが強くなったと見られる。2010年代はそうした快楽至上主義的な傾向に一旦ブレーキをかけ、「ドラッグとは何か」を再考する時期が改めてやってくるはずだ。その時に、感情論でない発展的な議論を行っていくための、思索の助けになりそうな本をピックアップしていこう。

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