──今年5月に裁判員制度が施行されてから半年。来年2月には死刑にかかわる判決も出てきそう。だが、あなたは死刑という極刑の賛否に関して、明確な答えを持っているだろうか? そこで、基礎知識として読んでおきたい死刑本を、日本の死刑を取り巻く現状と共に紹介する。
2009年5月より裁判員制度が施行され、市民の司法制度に対する注目が高まりつつある中、「究極の刑罰」である死刑の議論もかつてない高まりを見せている。裁判員制度施行目前の08年から、死刑関連本はその出版数を増やしており、特設コーナーを設置する書店も増えている。最近世間から注目を浴びた本としては、光市母子殺人事件の犯人を実名で掲載した『福田君を殺して何になる』【1】が挙げられるだろう。同書については、出版元と著者の増田美智子氏らに少年側が出版差し止めなどを求め係争中だ。ほかにもマブチモーター事件で死刑判決を受けた小田島鐵男の獄中ブログをまとめた『最期の夏』(ミリオン出版)も話題を呼んでいる。
そんな昨今の死刑関連本の状況を、死刑論争に数々の提議をなしている雑誌「創」の編集長であり、自著『ドキュメント死刑囚』【2】で、重大事件の加害者を考察しながら、司法システムやジャーナリストの機能不全に警鐘を鳴らす篠田博之氏は、こう語る。