"天下の読売"だって、のりピーを追いかけてます!
酒井法子被告や押尾学被告の話題が一般紙でも大きく報道されているが、一昔前までは、一般紙が芸能人の話題を大きく取り上げることなど皆無だった。それが最近では、女優・森光子の国民栄誉賞受賞を各紙が1面で報道。特に読売新聞は若手芸能人を2ページで紹介するコーナーを夕刊に作り、一般紙にはなかなか掲載されなかったAKB48のようなアイドルまで紹介するなど、異彩を放っている。
これに対して全国紙のベテラン記者は「昔は、新聞社は芸能ニュースなど報じるもんじゃないといわれていた。それが変化してきたのは、部数が落ち込んできた80年代後半だが、ここ数年はその傾向が加速度的に進んでいる。特に、巨人人気を失った読売新聞は、"公称1000万部"を死守するため、AKBでもなんでも、話題作りのためになりふり構わず登場させようとしている」と指摘する。
こうした背景には、インターネットの重要性が上がり続けていることも挙げられる。昨今の"紙離れ"の中で新聞社は、ここ数年、ニュースサイトをビジネスとして強化。ネットの広告費はサイト閲覧数と連動するが、全国紙でニュースサイト事業に携わる中堅社員は「新聞社のお堅いニュースは、サイトへの誘因力が弱い」と指摘する。
「昨年末の世界同時不況も、新聞は連日1面で報じたが、ネットの閲覧数では沢尻エリカの結婚や飯島愛の急逝に遠く及ばなかった。ネットの広告収入が重要になる中で、芸能ニュースに力を割かざるを得なくなっている」(同)
一般紙 読売新聞、朝日新聞などに代表される、一般新聞紙のこと。かつては、スポーツ紙、タブロイド紙などとは明確に一線を画す"格調の高さ・がウリだったが、部数低迷と広告収入の悪化で、最近はなりふり構っていられないフトコロ事情を抱えている。
その結果、毎日新聞は数年前からデジタルメディア部門にタレントによる新作発表会などを追いかける記者を配置し、撮影したアイドルの写真を大量に掲載。産経新聞に至っては、東京モーターショーのコンパニオンなどを紹介する企画まで手がけているのだ。
しかし、一般紙が"新規参入"する中で、問題も起きている。先日、TBSによってドラマ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の宣材写真が配布された際、主演の香取慎吾について「紙面で使う分には問題ないが、ネットでは一切使用しないように」との注意書きが添えられていた。結果、一般紙のニュースサイトでも、主役の香取だけが不自然にカットされた写真が使用されることとなった。本誌読者ならご存じの通り、これは、自社タレントの肖像権にうるさいジャニーズアイドルではよくあること。しかし最近はジャニーズ以外にも広がっており、カプコン『モンスターハンター3』の発表会でも、次長課長の井上聡が登場した際に「ウェブへの掲載は1週間後までで、それ以降は削除するように」という注意が添えられており、「そこまで指導されなきゃいけないのか」とボヤく一般紙記者の姿もあった。
これについてある全国紙社会部記者は「本来ならば、報じる報じないはメディア側の判断、というのが報道の原則。しかし、『しょせんPV稼ぎのためのタレント記事だから』という意識の下、安易にメーカー、タレント事務所側の要求をのんでいる。これでは、相手の不当な『報道禁止要求』に屈してしまう事態にもつながりかねず、報道機関の首を絞めかねない」と憤る。
収益悪化に対してネット対応を付け焼き刃的に進めている一般紙各社。しかし、そこで得られるのはしょせん小銭であり、報道機関としての信頼を地に落としかねない行為に手を出しているのでは、目も当てられない。
(編集部)
当然SMAPも……
今年6月に開催されたスクウェア・エニックス『ドラゴンクエスト9』の発表会でも、同作のCMキャラクターに採用されたSMAPの写真については、会場に駆けつけた一般紙もエンタメ雑誌も一律にネットでの使用は一切できず。じゃあ、そもそもいったいなんのためのCMキャラクターなのか……。