粗悪な労働条件が問題視されつつも改善されない、外国人研修生問題。その実態を垣間みるべく、過去の事件を追った──。
[07年7月]
トヨタ自動車の3次請けメーカーを相手に、ベトナム人研修生6名が慰謝料と未払い賃金の支払いを求めて名古屋地方裁判所に訴えを起こした。研修生たちは就労中、逃走防止のためか預金通帳やパスポートを強制的に会社側に預けさせられたり、作業時間内にトイレに行く際には、その時間分の賃金が差し引かれていたりしたという。
[08年4月]
愛媛県今治市のタオル製造会社が、中国人研修生3人に対し、「ひとりにつき100万円を払う」と約束して中国へ連れて帰りながら、金を渡さずに大連の空港に置き去りにしていたことが発覚。1カ月で186時間に及ぶ残業をさせていたことも明らかになった。
[09年3月]
中国人研修生5名が仕事をボイコットしたために、受け入れ企業が廃業に追い込まれたとして、研修生を相手取って会社側が損害賠償を請求する訴えを出し、それに対して研修生側が残業代等の支払いを求めて反訴を行っていた一連の裁判で、津地方裁判所が会社の損害賠償請求を棄却し、残業代の請求額満額の支払いを命じる判決を下した。判決は「会社自身にも研修生が労働者であるとの認識があったと推認される」とし、研修生の労働者性を認定。今後、同種の裁判に影響を与える判決となることが予想される。
[09年4月]
愛知県田原市の自動車部品メーカーで実習を行っていた中国人実習生3人が、メーカーと受け入れ機関の双方を相手取り、未払い賃金の支払いを求めて訴えを起こした。「研修」であるはずの1年目から労働をさせられ、手当なしで休日出勤を強要されていたことなどが問題に。