メーカーによる『レイプレイ』のジャンルは"リアルタイム3D痴漢ゲーム"とのこと。
ここ数年、オタク市場の中でも急成長を遂げてきたアダルトゲーム業界において、今年、業界を揺るがす大きな事件が起こった。
発端は、日本国内限定で販売されていた陵辱系美少女ゲーム『レイプレイ』(アイワン)が、ネット小売り業アマゾンを通じて、イギリスで流通したことに始まる。未成年がレイプされるという内容を問題視したイギリス労働党の国会議員が、今年2月、「犯罪行為のレイプをシミュレートするゲームは許されない」と発言したのだ。
続いて5月にはアメリカの人権保護団体「イクオリティ・ナウ」が同作品と規制の緩い日本政府に対して抗議声明を発表したため、各国のマスコミに大きく取り上げられ社会問題に……これが国内ゲーム業界を騒然とさせた"レイプレイ事件"の概要だ。
こうした世界的な反発を受けて、年間、約950作のゲームソフトを審査するメーカーの業界団体「コンピュータソフトウェア倫理機構(以下、「ソフ倫」)」は、各メーカーに規制強化を指示。結果、6月2日以降、アダルトゲームメーカー全社が「性犯罪を肯定する陵辱系ゲームの製造・販売を一切禁止するという自主規制を行う」と宣言したことで、騒動は一旦終息した。
しかし、某メーカーのゲームプログラマー・S氏によれば、「規制後も発売されるアダルトゲームの内容は大して変わっていない。これは、ソフ倫とメーカーの癒着にほかならない」と声をひそめる。
レイプレイ事件
アダルト専門のゲームメーカー「アイワン」の一ブランドから発売された『レイプレイ』というゲームソフトが、"女性をレイプして調教する"という過激な内容から、世界中から批判された事件。
「通常、ゲームメーカーがソフ倫に支払う加盟料は年間数十万円程度ですが、今も昔も役員に袖の下を払えば、多少の行き過ぎた内容は認めてもらえます。逆にメーカー側の人間がソフ倫の要職に就いて、審査の決定権を握るというケースも。倫理機構の審査が通らなければせっかく作ったソフトも販売できないから、アダルトゲーム業界ではこうした慣習がはびこっているんですよ」(同)
両者の癒着が功を奏したのか、過激路線で売り上げを伸ばしてきたアダルトゲーム業界だが、矢野経済研究所の「オタク市場」の調査によると、昨年あたりからついにマイナス成長に転落。美少女を中心に扱うアダルトゲーム雑誌の編集者・N氏が業界の現状を語る。
「児童ポルノ法強化が叫ばれる世論の影響で、売れ筋の美少女モノへの風当たりが強くなったこともあります。ですが、それよりも問題なのは制作現場の劣悪な環境ですね。手取り10万そこそこで土日関係なく徹夜でプログラミング作業を行い、業績が悪ければ会社自体がすぐ倒産。ヒット作品が生まれたらプログラマーが独立起業し、もう一度当てようとするけど、うまくいかず廃業……これが2~3年周期で繰り返される。10年前の大手メーカーで、とはいってもせいぜい20人程度の規模ですが、かつて隆盛を見せていたところも今はほとんど残っていません」
こうした過酷な仕事量はゲーム業界全般で問題視されていること。だが、際立った収入の低さは美少女モノ制作現場の特徴だという。
「ジャンルがまだ不安定なわりになり手が多いこと、同人サークルから発展したため儲け重視の考えが薄いこと、経営者がセミプロであることなどの理由が挙げられます。また、ゲームだけではなく、アダルト・ノンアダルトに限らず、美少女専門のゲーム雑誌も衰退の一途、売り上げは数年で半分以下になりましたからね」(前出・N氏)
今も『ひぐらしのなく頃に』や『fate』、『プリンセスラバー!』のように同人ゲームからアニメ、映画作品に憧れて業界の門を叩く美少女好きの若者も多いそうだが、就労条件の悪さに耐えられずに逃げ出すことも少なくないのだとか。
なかなか厳しい美少女ゲームの懐事情。かといって、未成年の女の子をレイプさせるような内容は、表現の自由が存在するとはいえど、少し行き過ぎだとは思うのだが……。
(KyoPro/松本京也)