DVDメーカーレイフル社が発売していた着エロDVDシリーズ『EIGHT』
性器や乳首以外の部分を限界まで露出する"着エロ"。3年ほど前から10代前半のジュニアアイドルたちによる着エロDVDの過激化が世間で問題視され始め、07年10月には"Tバック小学生"などの作品をリリースしていたメーカー・心交社が児童ポルノ法違反で摘発。以降、本誌でも再三指摘してきたが、相変わらず着エロDVDの過激化は続き、逮捕者も後を絶たない。
「心交社の摘発以降、児童だけでなく18歳以上の着エロ作品も過激化しています。例えば最近では、モデルの性器が"ほぼ丸見え"状態だとして、『千夜一夜の夢 後藤麻衣』を制作したメーカー・キングダムが、わいせつ図画販売の容疑で摘発を受けました。一方7月には、16歳の少女に水着で過激なポーズなどをさせたとして、DVDメーカー・レイフルの社長ら関係者4人が、児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されています。レイフルは17歳以下・以上を問わず『コンデンスミルクまみれのソーセージを口で愛撫する』『ローションを垂らし胸をマッサージする』といった過激な演出が定番の『EIGHT』シリーズが人気でした」(着エロDVDファン)
逮捕者が続出するにもかかわらず、ほかのDVDメーカーは依然として過激なDVDの制作をやめようとしない。
その理由を、ある着エロカメラマンは「たとえ逮捕されたとしても、それ以上に儲かるから」と説明する。
「前科が、あまり仕事に影響しない業界ですからね。罰金を払ってシャバに出てきたら、また元の職場に戻る人も多いです。違法とされたDVDの売り上げを警察に没収されるわけでもないから、逮捕されることを承知の上で"売り逃げ"する業者もいますね」
これに対し「そのような業者は、ごくごく一部」と、ある着エロメーカー関係者はさらに深い内情を明かす。
「ただ単に制作費をペイするために、売れ線の演出である"過激な着エロ"を取り入れるしかないというだけ。だいたいこの手の作品は、1作品につき約1000枚売れれば制作費を回収できるといわれています。例えば、DVDが1枚4000円として、それが1000枚売れると約400万の売り上げ。そこからタレント事務所へのギャラや問屋などへの支払いをして、残った200万程度がメーカーの売り上げに相当します。そこから制作費や配送費、プレス代などを引くと、大体50万から100万しか利益が残らない。ヒット作といっても、売り上げ枚数はせいぜい2000〜3000枚程度。不況で数百枚しかさばけないようなタイトルも続出している今、その程度の儲けで『逮捕』を覚悟する業者なんていない。ただ、ほかのメーカーもやっているから、売るためにうちもやらざるを得ない……という悪循環で、歯止めがかからなくなっているだけです」
とはいえ、明らかに性器の大部分が見えているようなシーンのある作品も多い。なぜ出荷前に、最低限の修正くらいは施さないのだろうか?
「AV業界におけるビデ倫のような審査団体がないので、作品に違法性があるかどうかを事前に判断するのはメーカー自身なんです。発売前に映像を2~3人でチェックするところもありますが、制作費の少ない弱小メーカーにその余裕はないでしょうね」(前出メーカー関係者)
過激さの面においては今や飽和状態の着エロ業界。
「過激化はもう行き詰まりですね」
と、業界に詳しいライターは今後の動向を示唆する。
「最近、白人美少女と日本独自の文化である"着エロ"を組み合わせた『西欧ブロンド着エロ倶楽部 ユリア 18才』(写女)が爆発的に売れました。ユーザーも飽きっぽいですから、今後はジャンルや演出の組み合わせなどの目新しさで売っていく流れになるのかもしれません」(同)
AVに極限まで近づけたとして、その先に待っているのは逮捕……。着エロ業界は、独自路線を開拓する岐路に立たされているようだ。
(岡島紳士)