──バンドコンセプトが強烈なんですけど、誰が決めたんですか?
ANGEL-TAKA(以下、TAKA)食事の合間に、ラフな感じでメンバー全員で決めました。インパクトがあるものをやりたくて。
──結成は10年以上前じゃないですか。最初からこのコンセプトだったんですか?
TAKA もっとパンクだったんですよ。バンド名も「宇宙戦隊」はついてなくて、「NOIZ」だけでした。
──戦隊モノが好きなんですか?
TAKA 僕はそういう世代で憧れてたし、将来はジャパンアクションクラブに入って、アクションヒーローになりたかったんです(笑)。
──いわゆる王道V系のファッションはやらなかったんですか?
TAKA 当時もブサイクなメンバーで、ビジュアルビジュアルしたのが似合わなかったんですよ。
──衣装もすごいですよね。
TAKA いまはデザイナーさんに作ってもらってるんですけど、やり始めた頃はメンバーの手作りだったりとか、当時付き合ってた彼女に無理やり作ってもらってたりとか。
──ミシンで縫ったり?
TAKA 泣きながら彼女が作ってました(笑)。
──いい話ですね。メイク時間はどれくらいかけてるんですか?
TAKA 長くて2時間です。
──ヘアメイクさんは大変ですね。
TAKA 頼む時もあるんですけど、基本自分たちでやってます。
──えー! 上手じゃないですか!V系ヘアメイクに転向できますよ。
TAKA でも、自分の顔しかできないんです。人の顔はキレイにできないんですよ。
呼太郎 僕は1時間半くらいです。
MASATO 最速で、20分くらいです。
──事務所に所属する前は、アルバイトとかはしていたんですか?
TAKA 僕、職歴めちゃめちゃありますよ。最初は三菱電機の工場勤めのサラリーマンで、配電盤を作る仕事をやってました。髪の毛キンキンのまんま働いてたんですよ。
──会社はうるさくないんですか?
TAKA 怒られながらやってました。そのあとはジーパン屋さん、ピザ屋さんの配達、ピザ屋さんの店長にまでなっちゃったんですよ。店潰れましたけど(笑)。
呼太郎 僕はテレアポとか電話営業です。奥さんにドヤされながら営業してました。あとはビルのガラス清掃、コンビニ、寿司屋さん、携帯電話を工場で作ったりもしました。
MASATO ほとんどガテン系ですね。解体屋とか警備員とか、簡単に金を稼ごうとしたらそれしかないです。頭がいまより派手で、チューブがドーンってついてたりしたから、普通の仕事ができるワケないんです。ヘルメットも、頭がもさっとしてるから、かぶれなくて浮いた状態で。
──では、食えない時期もあったんですか?
TAKA 食べ物か?ってモノを食ってました。戦時中みたいな(笑)。
──女に食わせてもらったりは?
TAKA 昔はありました。申し訳ないけど、生きていけなかったので。
──海外でのライブ経験もあるみたいけど、今後も海外でライブをしてみようと思ってるんですか?
TAKA 世界中で活躍して世界中でモテたいです。前にフィリピンのジャングルで歌ったことがあるんですよ。フィリピンの貧しい地域って、歯ブラシがないから虫歯で永久歯を抜かなきゃいけない子どもたちが多いんですよ。なので、歯ブラシ持っていってチャリティで歌ったんです。
──地球平和をホントにやってるんですね!
TAKA 僕らのブログで、「彼氏とホテルに泊まった時、使わなかった歯ブラシをライブに持ってきてね」ってファンに向けて書いたら、ガンガン集まって1万2000本になったんですよ。「それじゃあ隊員(ファン)の気持ちをフィリピンに届けなきゃ」って思って。
──V系の取材でいい話が聞けると思いませんでしたよ。
TAKA また持っていきます!
うちゅうせんたいのいず
写真右よりHyper Sonic Guitar.MASATO/Neo Eccentric Guitar.呼太郎/Angel Voice.ANGEL-TAKA/Machinegun Beat Grappler.YAMATO/Super Vibrator.叫
「地球の平和を守るため、はるか遠い宇宙からやって来た5人の戦士たち」というコンセプトの、V系きっての異端児バンド。もちろん衣装も戦隊モノ。年間130本ものライブをこなし、本気でおバカをやってるところに男気が感じられる。
<最新シングル>
「BRAND NEW WORLD」
こんなに色モノ(失礼)なのに、こんなに楽曲がいいなんて素敵!HIDEや雅が好きな人なら、絶対ハマると思いました。何より楽曲の完成度が高く、一曲の中に起承転結があるから、聴いてて安心できる感じかな。ワクワク感と安心感が一曲の中にあるって、最近は意外と少ないから、うれしくなっちゃいましたよ。音楽だけを聴いてもイイけど、コンセプトが強烈で面白いから、ライブやDVDでキメ台詞を何度も聞きながら笑って観るのも楽しい予感。(発売/ユニバーサルミュージック)
Kei-Tee的インタビュー後記
「フールズメイト」や「ショックス」といったV系音楽誌で、「戦隊」を名乗って活動する彼らに、とても興味を持ってたんです。黒い服を着てるか女形の可愛い格好をしてる人たちの中で、なんとかレンジャーみたいな格好をしてるんですから、イヤでも目を引きます。実際会ってみると、みなさん「ロック兄ちゃん」。話も面白いし、自分たちのことを「おっさんバンド」と言ってるところにも好感が持てました。あたし、三十路越えの盤麺が大好きなんです。男の色気も出てくるし、演奏もうまい、楽曲も練れてる、人生経験もしてるってことで、この連載で取材する盤麺はなるべく三十路~四十路くらいを希望してるんですね。断然萌えるし、原稿にも力が入るんですよ(笑)。
<筆者プロフィール>
1973年、東京都生まれ。"神に最も近い男"角川春樹の娘にして、角川春樹事務所顧問、出版プロデューサー。根っからのビジュアル系好きで、元バンギャルにして元アイドル。1歳の愛娘の子育てに奮闘中。自著に、自薦他薦セレブのインタビュー集『セレブの血』(ワニマガジン)がある。 公式サイト