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高須基仁の暴言・放言・妄言録 私は貝になりたい 第49回

エロスの世界を天下国家が規制するのは間違いだ!

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――「しゃべるな!」と言われたことを、あちこちでしゃべりまくり、命まで狙われたこともあるというタカス。周囲から怒られる度に「貝になる」と誓うのだが、その放言癖はいまだ健在だ。

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以前、安達有里が我が社にいらっしゃったときのツーショット。

 近頃、人間の根源にかかわることを法で規制しようという動きがある。児童ポルノ禁止法改正案もそのひとつ。

 熟女好きの私にはロリコンの趣味はないが、商売として15~16歳のきわどい水着写真は撮ってきた。それは表現の自由の範囲だと思っている。さすがに小学生は撮らない。それは個人のモラル、自主規制の問題である。購買者に対して「18禁」「15禁」と制限を設けるのも、自主規制に任せるべき。国が決めることではない。ましてや過去に認められた作品まで破棄しなければならないなんて、バカげている。

 エロスの表現は、常に自主規制と法制化のつばぜり合いである。私は、基本的にはなんでもアリがいちばんだと思う。人間として本能の発露は自由であるべきだ。

 やりたい放題、なんでもアリ。その中で、あえて自主規制するには強い意志が必要だ。むしろ、なんでもかんでも法制化したほうが、よほど楽である。何も考えずに遵守してればいいからな。

 私は法で認められていることでも必要がなければしないし、法を犯すことになっても必要があればやる。自分の信念に基づいて起こした行動がたとえ罪に問われたとしても、それは「仕方ない」という覚悟がある。放尿ショーもやり続けるぞ!

「陵辱ゲーム」も国際問題に発展した。すでにAV業界では監禁レイプものは自主規制の対象となっている。「3禁」とプロフィールに打つ女優も多い。3禁とは、【1】がアナル、【2】が中出し、【3】が監禁レイプのことである。それをやる子は企画モノの中でも"最低レベルの子"と位置づけられる。

 私は昔「クールディバイス」というエロアニメシリーズを作って儲けていたが、個人的には実写派。それも写真、本にこだわりたい。ビデオやDVDはそぐわない。いくら売れても、テレビがなければ役に立たないからだ。まるで作品ではなく部品を作っているよう。なぜテレビメーカーに加担しなきゃならないのだ。軒先借りる商売はいやだ。そんな発想だった。

 ……滅びの美学だな。

 自主規制の話に戻る。新しいビジネスを始めようと思ったら、誰も歩んだことのない道を行くしかない。つまり、そこには法がない。だから冷静な自主規制が必要になる。冷静というと熟考しているように聞こえるが、もしかしたら動物的カンかもしれない。いずれにせよ、道徳・倫理・常識のバランス感覚が必要になる。これを逸脱しようとするときは、自問自答しなければならない。

 私も初めて世にヘアヌードを発表する際は自問自答した。本当にいいのか。わいせつ物陳列罪に問われたら解決策があるのか。私は「有名女優さんですから」「有名な週刊誌ですから」「有名なカメラマンですから」という逃げ道を考え、それでも捕まったら仕方ないという覚悟を決めた。だからやれた。

 最近、芸能人のAV出演が話題となっている。『11PM』元アシスタントの横山エミー、ジャズ歌手の真梨邑ケイ、安達祐実の母・安達有里、Winkの鈴木早智子……。飽和状態にあるAVの隙間を狙ったものだろうが、出演する女優が一流とはいえず、既存のAVのイメージから脱しきれていない点が残念だ。内容も「セクシービデオ」の範疇である。

一流女優による本番解禁ポルノという新カテゴリがあればいい。コンビニでは売らず、セルショップ、場合によっては大人のおもちゃ屋で売るリミテッドなもの。女優は若く、名を成したアイドル。そして、演出は有名監督が担当する。

 ピンク映画出身の監督たち――滝田洋二郎、黒沢清、周防正行、井筒和幸らを、もう一度エロに呼び戻してはどうか。そして、文化人が"作品"として評価できるものにする。

 ネーミングも「芸能人AV」などでは直接的すぎる。「ピンク映画」が「ロマンポルノ」と呼ばれるようになったように、「陰毛写真」を私が「ヘアヌード」と名付けたように、「ババア」と呼ばれた女性を、私が「熟女」と名付けたように、新しい言葉があってこそ、新しいムーブメントにつながる。ロマンポルノには日活のプロデューサーがいた。ヘアヌードには私がいた。今回は誰がその役を担っていくのだろうか。

 先日、安達有里のAVを手がけた本牧三郎監督が事務所を訪ねてきて、「高須さん、次回作のキャスティングをしてほしい」と頼んできた。私は「脱がせ屋と呼ばれた男」である。一役買うつもりでいる。女優にとって、私の声は悪魔のささやきに聞こえるだろうな。受け入れたらお互いに潤うぞ。志は高く持とう。

高須基仁(たかす・もとじ)
中央大学経済学部卒業後、某玩具メーカーにて数々のヒット商品を開発。その後、紆余屈曲があって、出版プロデューサーとなり数々のヘアヌード写真集を手がける。別名、毛の商人。公式ブログ


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