北のムショから「ミナミ」に応援メッセージ!?(撮影/有高唯之)
マンガのみならず竹内力主演のVシネマや映画でもお馴染みの『ミナミの帝王』。大阪・ミナミを舞台に闇金業を生業とする萬田銀次郎と金にまつわる人間模様を描いたこの作品が、1992年の連載開始からなんと単行本100巻を迎えた。そこで、着流しをまとい、菅原文太に似た角刈りコワモテで、いかにもな風貌の芸人・シベリア文太氏に『ミナミの帝王』を読んでもらい、感想を聞いた!
「いや~、おもろいマンガですね。どんどんページが進む。ミナミの持つ独特のアブナイ雰囲気はリアルで、大阪時代のことを思い出しました」と、すっかり『ミナミの帝王』の世界観に引き込まれたご様子。じゃあ主人公の銀次郎については?
「頭がいいし、怖いし、モテるっていう(島田)紳助師匠みたいな人ですよね。紳助師匠も人の心の機微を熟知してますし」
なるほど確かに紳助さんはいまや、数々の事業を成功させるほどの知者。ミナミの街のならず者を相手に、持ち前の頭脳で軽くあしらう銀次郎と通じるところも多いかも。ところで芸人といえば酒・女・遊びは芸の肥やしで、宵越しの銭を持たない暮らしには、借金苦が付きもの。文太さんの師匠、間寛平も、過去に相当の借金に追われてましたよね?
「寛平師匠はひどいですよ。保証人になったりして借金で苦労してるのに、銀座のクラブとかでばんばん使っちゃう。この間も、もういらんって、自分の乗っていたベンツを波田陽区にあげちゃったりする。一番弟子の僕を差し置いて……」
さすが寛平師匠! すごいきっぷの良さ。じゃあ、そのDNAを受け継いだ弟子の借金話は……? と聞くと「僕、借金したことないんです」って。あれ?
「この間は、夜、電車がなくなって恵比寿から練馬まで歩いて帰りましたし、大阪への移動も会社から新幹線代もらっておきながら、バスで行って金を浮かせてます」
えー! 外見からは予想もつかないケチケチ生活。では、『ミナミの帝王』を読んで、得た教訓は?
「……無駄遣いはアカン」
(萩原雄太)
しべりあ・ぶんた
1964年、福井県生まれ。86年に新喜劇の研究生として吉本入り。スベリ芸と呼ばれる独自の芸風でブレイク(?)を果たす異色の芸人。菅原文太にそっくりの外見と、滑舌の悪さがトレードマーク。
『ミナミの帝王』 (NCニチブンコミックス)
原作・天王寺大、劇画・郷力也による、「週刊漫画ゴラク」で連載中の人気作。大阪・ミナミの裏金「萬田金融」を舞台に金にまつわる人間模様を描いた作品。マンガだけでなく映画やVシネマなどでも人気。8月8日に単行本100巻が刊行された。 定価/580円 発売/日本文芸社