<前回までのあらすじ>
本場のコメディと英語を学ぶため、日本に妻子を残し、ニューヨークへ修業に出た芸人・中牟田。いざ、憧れの地へ......と思いきや、出発時の空港で写真週刊誌にとっつかまる。理由は、これから日本で起こす予定の、女がらみの詐欺事件の裁判だった。残してきた"お土産"と、それを引き受ける所属事務所の苦労に思いをはせつつ、中牟田を乗せた飛行機は太平洋を渡る――。
ニューヨークにたどり着いたお笑い芸人・中牟田秀直は、学生寮に住み始めた。現地の事情に明るい知り合いの日本人やアメリカ人の友人もいたが、あえて彼らに頼らずに生活を始めたのだった。最初にある程度サポートしてくれる人がいたのでは、異国の地で暮らすときに経験すべき不都合やら理不尽やらギャップをスルーしてしまうことが多いだろうと、彼は感じていた。