──元トップAV女優にして、現在はライターとして活躍中の峰なゆか。生半可じゃない小説マニアの彼女が、現役男性作家たちを一蹴!
作家の中で一番のイケメンって、私は夏目漱石しかありえないと思うんです。今の作家さんも、雰囲気イケメンは結構いるけど、顔が本当にイケメンな人って少ないですよね。女性作家はかわいいって理由でデビューした子も絶対にいるはずだから、男の人もイケメンを売りにして、出版社がデビューさせてもいいと思うんです。
それから、このテーマで避けて通れないのが石田衣良ですけど(笑)、男性に「気になる作家は?」って聞かれて、石田衣良って答えると「アイツもうダメじゃん」みたいなノリになっちゃう。でも、彼は「なんかムカつくけど気になる」タイプなんです。村上龍もそうですけど、ああいう大量生産型の作家が書くものは「読者はどうせ、こういうの好きなんでしょ?」って空気が前面に出てて、本当に書きたいことは背後にチラチラ見え隠れしてる感じがしますよね。でも石田衣良の場合、それすら慎重に避けているというか、「オレが本当に書きたいものは、絶対に大衆に見せない」ってにおいがプンプンするんです。きっと本音の部分は、妻か愛人くらいにしか見せないんでしょうね。私が今から彼の愛人になったところで、どうせ78号くらいだろうから、その部分は多分教えてもらえないと思うと、ちょっと悔しい(笑)。
それにしても最近の作家さんは、エロの扱い方が気持ち悪い。エロに対する許容範囲が広くて、「そんなオレ、かっこいい」みたいな感じが出てて。リリー・フランキーとか、「女はエロい下着をつけなきゃダメだ」みたいなことを言う人は、「うざっ」て思っちゃうんですよね。自分のキャラ作りでエロを語るなって感じ。もともと作家萌えする女の子って、オレ様タイプよりも、もやし系で、一人称が「僕」みたいな男が好きじゃないですか。だから村上春樹の小説の男の子は最高に好きだし、古川日出男のなよなよした文系タイプの男性ホルモンにやられちゃうんですよ。
最後の望みは、「舞城王太郎イケメン説」に賭けてます! 女の子の描写がうまいし、いかにもイケメンが書きそうな感じがするし......って、期待すればするほど、本人はますます顔を出しにくくなるわけですけどね(笑)。(談)
峰なゆか(みね・なゆか)
1984年、富山県生まれ。ライター。05年~09年1月まで、AV界のトップ女優として活動。現在、メールマガジン「αシノドス」(詳細P122)にて「労働環境としてのAV業界とその不可視なリスク」など連載中。