101万票を獲得し、2度目の挑戦で千葉県知事選に当選したタレントの森田健作。だが、周知の通り3月末の当選直後から、偽装無所属問題や違法献金疑惑などが相次いで報じられ、それに対して苦しい釈明を堂々と言い張る姿に、また非難が上がっている。
真っ先に指摘されたのは、自民党籍を持ち「自民党東京都衆議院選挙区第二支部代表」であるにもかかわらず、選挙戦で「完全無所属」を標榜した点だ。西松建設の違法献金事件などで政治不信ムードが高まる中、選挙では政党隠しが得策と判断したわけだが、実態は、自民党の国会議員・県議の大半から支援され、ズブズブだったのだ。
「森田は05年の前知事選で現職の堂本暁子氏に惜敗しましたが、この時は自民党から応援をもらっていたにもかかわらず、『あなたたちが勝手に私を応援しただけ』と言い放って礼のひとつもなかった。それで今回は、一部の県議団に対して前回の非礼をわびた上で『武士の情け』と泣きついて支援を求めたのです」(自民党千葉県連関係者)
続いて、この自民党支部で受けた献金に、政治資金規正法に抵触する違法な企業献金があったことが判明。結局、480万円を献金先に返金した。さらに、前知事選の直前に、自民党衆院議員時代に所属していた山崎派から300万円、同派の甘利明・行政改革担当大臣から100万円の寄付を受けたにもかかわらず、資金管理団体の収支報告書に記載していなかったことも発覚。
また、違法ではないものの、マルチ商法の会社CMに出演したり、知事就任時に自身のパチンコ機がリリースされたことが週刊誌などで取り沙汰された。千葉県政担当記者の間では「周囲に有能なスタッフがいないこともあると思うが、森田は危機感がなく、とにかく脇が甘い」との声が上がっている。
「千葉県庁では基本的に毎週木曜、知事の定例会見がありますが、当然、カネや疑惑についての質問が相次ぎます。たいてい森田はトンチンカンな回答をするか、『質問を文書で事務所に送って』と逃げるかのどちらか。本来、知事の記者会見では、知事が即答できない質問には脇に控える県庁の部局長クラスが回答するんですが、森田の会見では、政治資金の問題など、県庁の職員が答えられない質問が多い。その結果、彼の個人事務所が次週の会見までに答えを作成する、というグダグダなやりとりになります(苦笑)」(同)
そんな中、市民団体が4月15日、「完全無所属」を騙ったのは公職選挙法違反(虚偽事項の公表)にあたるとして刑事告発したが......。
「政党の公認を得ていない以上、『無所属』を名乗るのは適法です。争点は『完全』をつけたことが刑事罰に相当するかどうかですが、前例もなく、検察が起訴するかは微妙。カネに関しても、返金や記載ミスの訂正を行っているので、起訴まではされないでしょう」(県政関係者)
どうやら逃げ切れそうな気配だが、その不信感は日に日に募るばかり。
「今回の選挙前に、記者から、『釣りが趣味ということだが、千葉県内ではどこで?』と聞かれて森田は言葉に詰まったんです。そして開き直って、『どっか連れて行ってよ』と(笑)。つまり、まったく千葉県内のことを知らないんです。4年前に落選してから県内をくまなく歩いたと言っていますが、怪しいものです。受け答えはすべてその場しのぎなので、これからどんどんボロが出るでしょう」(全国紙デスク)
ある県庁職員は、「近年、これほど千葉県が注目を集めたことはなかった」としみじみ語る......。
(南部修一)