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脱力ニュース・ジャパン

【今月の教訓】"欲しいもの"は人それぞれ

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 脱力ニュースを集め続けて、もう20年ほどになる。その間、いろんなマニアの犯罪が三面記事を飾ってきた。路上で女性を押し倒し、ハイヒールだけを奪って逃げて強盗致傷で捕まった大学生の記事を見た数年後、まったく同じ手口の事件が今度は容疑者の実名入りで報道されていて、"ああ、あのときの大学生が成人したのか。一度捕まっても趣味嗜好は変えられないんだなあ......"と妙な感慨を覚えたりしたこともある。

そんな私も【記事A】には新鮮な驚きを禁じ得なかった。いろんな媒体で取り上げられていたので、すでにご存じの方も多いだろうが、他人の家から表札を盗んで捕まった表札マニアの事件である。盗んだ表札、なんと289枚! それを自宅アパートの布団のまわりにぐるりと並べていたというだけでも相当変わった人だが、表札なら何でもいいわけでなく、「珍しい名字の家」を電話帳で探し、しかも「崩し字よりも楷書の表札が好きだった」という。つまりこの人、"珍名楷書表札マニア"なのだ。いやはや、どんだけピンポイントな趣味なのか。世の中にはまだまだ未知のマニアがいるんだなあ。

 ただ残念なのは、盗まれた表札の名前に関する情報が一切ないこと。被害者のプライバシーにかかわるから公表できないってことなんだろうけど、どんな名前が容疑者の琴線に触れたのか、気になって仕方ない。

一方、同じ窃盗でもペーソス漂うのが【記事B】。住所不定、無職の男(58)が、会社役員(36)宅に侵入し、衣類計14点を盗んだ疑いで逮捕されたのだが、その理由が泣かせる。

「洋服がぬれて、なんとか服を着替えたかった」。......苦しい言い訳のようだが、現金は盗んでおらず、盗んだ服はすべて身に着け、「ぬれた服は会社役員宅の部屋に脱ぎ捨ててあった」という。下着からダウンジャケット、マフラーまで、14点も揃えて着込んでいたのは少々厚かましい気もするが、片や36歳で会社役員、片や58歳でホームレスという格差社会の現状を考えれば、情状酌量の余地は、あると思います。
(新保信長)


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