壇上では、"本木夫妻ツーショット"写真がメディアに躍った。(写真/早船ケン)
現在、国内では日本アカデミー賞に並ぶほどの権威を持つ映画賞『ブルーリボン賞』。その授賞式が2月3日、東京都中央区の銀座ブロッサムで行われた。主演男優賞は『おくりびと』の本木雅弘、主演女優賞は『ぐるりのこと。』の木村多江がそれぞれ選ばれるなど、「基本的に手堅い選考だった」(映画誌編集者)という。だが、作品賞は1985年の日航ジャンボ機墜落事件の報道現場に肉迫した『クライマーズ・ハイ』が受賞、『おくりびと』は僅差で逃したという。
「専門家や評論家の間では、今年の邦画ベストワンは『おくりびと』が多数。米国アカデミー賞外国語映画賞部門ノミネートされるなど、近年の邦画では珍しく海外でも評価された。ただ、同作は国内の映画賞を総ナメにしており、ブルーリボン賞では、ほかと差別化するために『クライマーズ・ハイ』を選出したようだね。まあ、同賞の選考委員はスポーツ紙の映画担当記者で、同作は報道の裏側を描き出し、主人公は熱血漢の新聞記者。そこも選考委員のツボを突いたんじゃないかな?」(前出・編集者)
さて、あとは米アカデミー賞の選考(2月23日)を待つばかりだが、『おくりびと』の受賞前には暗雲が立ちこめていた。
「同作のアメリカでの配給権を買い取ったのは弱小配給会社なので、アカデミー会員に作品をアピールするノウハウがない。さらに対抗馬は『バシールとワルツを』というイスラエルの秀作アニメで、各国での受賞歴も多い。そのため、ノミネート時から同作受賞の呼び声が高かった」(同)
日本でもアメリカでも、配給の規模がモノを言うってことか?
(北川ヒロミ)