クレーンの運転席に向かうべく、マスト(支柱)のはしごを上る。ちなみに取材当日は「今日は11階の床材を吊り上げました!」とのこと。 (写真/加藤アラタ)
オトコくさいイメージが色濃い、「ガテン系」の仕事。女性も徐々に増えているとはいえ、まだまだ少数だ。そんな状況を変えるべく、キャリア9年目のガテン系女子が、自身の経験を語る本を出した。その名も『クレーンガール』(メディアファクトリー)。著者の岡田舞子さんは、超高層ビルの建設に使われる「タワークライミング方式ジブクレーン」を日々操る、クレーンオペレーターだ。
「最近私が作業している位置は、だいたい15~20階くらいの高さになりますね。31階建ての高層ビルを造る現場ですから、まだまだ高く上がります」と、平然と言う岡田さん。工事が進み、高くそびえていく建物に合わせて、運転席ごとクレーンも上へ上へ。聞くだけで目が回るような仕事だが、つらくはないのだろうか?
「仕事の専門性上、私の代わりがいないというのが、やりがいになっています。もし私が休めば、交代要員を探すのに半日。その間、現場の作業は止まってしまいますから。それに自分の仕事が、形として残る喜びもあります。きっとOLをやっていたら味わえなかっただろうなあ」
辞めたいときもあるにはあるが「やっぱりクレーンが好き」という気持ちが勝り、今日まで来たと言う。
「肉体労働というわけではないですし、危険と隣り合わせの現場で慎重さや丁寧さが求められるクレーンオペレーターは、女性にこそ向いている仕事だと思います!」
ムートンのブーツを履き、指先にはネイルを施した、一見ごくごくフツーの女の子。 彼女は今日も、空から現場を支えている。
(草野 史)
おかだ・まいこ
1982年生まれ。クレーンオペレーター。「女性だけの部署、女性クレーンオペレーターを募集」の求人票と給料の良さに惹かれ、どんな仕事なのかも知らないままこの世界に。今ではその技術の高さと朗らかな人柄で、得意先からの"指名"を多く受ける。
『クレーンガール』
就職から現在まで、岡田さんが歩んできた道を記した1冊。地上数十メートル(100メートルを超える場合も!)の運転室から無線通信機とモニターを頼りに、建築材料や仮設用の資材など、建設現場のあらゆる荷をミリ単位で操るクレーンオペレーターの仕事がわかる。建設現場を見る目が変わるかも!? 著/岡田舞子 発行/メディアファクトリー 価格/1000円(税込)