──知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問を人気放送作家が直撃解決!
回答者 「安全でおいしい水プロジェクト」事務局 様
このところバラエティ番組で「大家族ビンボーアイドル」で絶賛売り出し中の上原美優チャンのことを知っているだろうか?今どきのバラドルではありえないその昭和テイスト満載の肩書。ご存じでない方のためにプロフィールを記しておくと、種子島の出身で10人兄妹(!)の末っ子。一番上のお兄さん、つまり長男はもう50歳で、現在21歳の美優チャンと29歳も年が離れている。
とにかく彼女の子ども時代のビンボーっぷりたるやハンパない。実家はものすごい雨漏りがするので、雨のときは傘を差してゴハンを食べなければならない。パンツも4人姉妹で7枚しかないので洗濯すると、1枚足らなくなり奪い合い。敗れ去った者は、その日ノーパンで学校へ行くことに。そもそもお母さんがパチンコ屋で産気づいたのにその瞬間に確変したため、もうアタマが出かかっていた美優チャンを手で押し込みながら打ち続けたという出生エピソードからして素晴らしすぎる。
彼女が上京してしばらくのエピソードもまた秀逸。なんと水道料金の請求書を持って東京の水道局に怒鳴り込んだという。というのも、実家ではお父さん手掘り(!!)の井戸から汲んだ水を使っていたため、そんなタダのものに金を出せと請求してくるヤツなんて詐欺師に違いないと思い込んでいたらしい。オレオレ詐欺ならぬミズミズ詐欺。
ところで今、東京都水道局が「東京の水道水がおいしくなりました」とキャンペーンしている。一口飲んで実感してほしいようで、ペットボトル詰めにして「東京水」と銘打って1本100円で販売しているのだ──ん!? いっぽんひゃくええん! 高ッ!! ニッポンの水道水ってとにかく安全で安いのが売りじゃなかったのか? 美優チャンじゃないがこれってボッタクリじゃないんですかね? だから直接、「安全でおいしい水 プロジェクト」事務局 に聞いてみた。
『東京水のペットボトル1本100円って、中身は水道水なのに高すぎませんか?』
担当者 え〜とそうですね。水道のお水自体はそれほどかからないんですけど、ペットボトル代・ラベル作成代ということで、それだけのお値段になってしまうんですね。
──水道水の原価はタダに近いと思うんですけど、値段の内訳はどうなっているんですか?
担当者 少しお待ちください。(2分間保留音で待たされて)お待たせいたしました。えっと、水道水だけでは0.1円になります。それ以外でボトル代が45円。運搬費が15円。ペットボトルを詰める時に水の塩素を抜くのですが、それにかかる費用が7円、販売手数料として30円。それから24本ずつでダンボールに詰めてますので、そのダンボール費用が3円になります。それで1本の値段になるというわけなんですね。
足し算すると100と0.1円になるのか。それは逆に水道代を手数料にインクルーズしている分、サービスになってるワケ? てか、塩素抜いた水ってことは、厳密に言うとペットボトルの東京水って本当の東京の水道水とは言わないんじゃないのか、と思って聞いてみた。
担当者 ......(15秒ほど沈黙)いや、そういうことにはならないと思いますね。東京の浄水場で作っている水道水なので、それは東京の水道水ということになりますね。
「もうそんな細かいことは水に流して!」と言わんばかりの対応だった今回。そんなに高いと思うなら、水道水を直接飲めってことか。だから直接飲んでみた
──あっ! 冷たくておいしいぞ、東京の水道水!!(と、さりげなくPRしてフォローする弱気な私)
[安全でおいしい水プロジェクト]
2004年度よりスタートした、東京都水道局によるプロジェクト。水道水の味や安全性を向上させるだけではなく、水源の確保などにも取り組んでいる。ちなみにイメージキャラクターの"すいてき君"は1990年3月31日生まれのおひつじ座で、新宿区西新宿在住とのことである。
さめはだ もんぢゅ
1965年、神戸にて誕生。放送作家。『ぐるぐるナインティナイン』(日テレ系)、『さんまのスーパーからくりTV』(TBS系)などを手がける。この連載をまとめた単行本『だから直接聞いてみた』(宝島社)は、まだまだ絶賛発売中! 週一ペースで通っている激辛ラーメン店「蒙古タンメン中本」が最近カップ麺になり、早速食ってみたら、インスタントじゃありえない辛さ。これをツマミに焼酎を飲む日々なのでありました。絶対カラダに悪そうな......。