──山田昌弘氏が『希望格差社会』(筑摩書房)を出版した4年前は、日本社会に「格差」が存在するかどうかが論争になるほど、格差問題への危機感は低かった。いまやこの問題は自明のものとなったが、山田氏は30年後に訪れる少子化の危機的状況を回避するには、早急な社会システムの再構築が必要だという──。今回は神保哲生氏に代わり、ジャーナリストの斎藤貴男氏が司会に加わり、「希望格差社会」や「パラサイトシングル」の名付け親としても知られる山田氏をゲストに迎えて、格差社会がもたらす少子化への影響に警鐘を鳴らす──。
【今月のゲスト】
山田昌弘[中央大学教授]
斎藤 格差社会の問題は、2年ほど前からマスコミに取り上げられ始め、国会でもしばしば話題にされるようになりました。一方で自己責任ということが強調され、その中で問題は深刻化しており、意図的に推し進められてきたものだという印象すらあります。今回は、格差社会について数々の著作を出されている東京学芸大学教育学部教授(当時/現・中央大学教授)の山田昌弘さんを迎え、「格差社会が少子化に与える影響」というテーマで話を進めたいと思います。